従業員の借金と会社の対処法

従業員の借金は、原則として会社とは関係無い。

社員が蒸発してしまい業者が未払い給料・退職金を請求してきたときの会社の対策

結論からいうと、貸金業者からの未払い賃金等の請求は、会社は原則として全て拒絶しなければなりません。
労働基準法24条は、賃金は直接労働者本人に渡さなければならないという「直接払いの原則」を定めているからです。

この規定は強行法規ですから、たとえ労働者本人の承諾があっても同条に反する支払は無効です。
また、退職金も労働の対価として支払われるものとして、「直接払いの原則」が適用されます(労働基準法第11条)

ただし、貸金業者が差押え・転付命令(業者に支払うようにという裁判所の命令)を得ている場合は、「直接支払いの原則」の例外として、会社は差し押さえられた範囲で未払い給料や退職金を支払わなければなりません。

取立屋が会社に来て困っているときの会社の対策

取立屋が債務者の勤務先に行って債務者や同僚、会社などに迷惑を被らせることは、貸金業法第21条(貸金業者の債権の場合)および割賦販売法に関する経済産業省(旧通産省)通達(クレジット債権の場合)に違反します。

また、取立により会社の業務が妨害されることになれば業務妨害罪(刑法233条、234条)が成立しますし、会社のほうで迷惑になるから帰ってくれと求めても帰らなければ不退去罪(刑法130条)になります。

これらの罪で取立屋や警察や検察庁に告訴でき、緊急の場合は110番通報してください。
監督行政庁に苦情申立するのも効果的です。
それでも勤務先への取立が続くようなら、裁判所に対し取立禁止仮処分申請、損害を被った場合は不法行為による損害賠償請求もできます。

給料を差し押さえられたときの会社の対策

給料が全部差し押さえられてしまうと普通のサラリーマンは生活ができません。
そこで日常的な生活費として支出する部分については、民事訴訟法で差押えが禁止されています。

その内容は、給料の手取り額の4分の3の額と政令で定められた額(現在33万円)と比べて、どちらか少ないほうが差し押さえ禁止額というものです(民事執行法152条)。

つまり、給料の手取り額が44万円以上の場合は、差押え禁止額は33万円となり、給料の手取り額が44万円未満ならば、差押え額はその4分の3となります。

ただ、その金額では生活が非常に苦しい場合は、差押え禁止額の増額を裁判所に申し立てることができます(同法153条)。

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